世界のリサイクルへの意識(考え方)

人口増加、経済の発展とともにゴミの量も増え、処理方法や不法投棄など、ゴミに関する問題が大きくなっています。
環境省によると日本にある最終埋め立て処分場の処理能力は2042年で限界を迎えると言われています。ゴミ問題はそれだけではなく、環境問題や地球温暖化と関連しているとご存知でしたか?
ゴミ問題に関しては日本だけではなく、世界各国でさまざまな対策が取られています。
今回は世界で起きているゴミ問題や各国のゴミ分別方法、リサイクルについて詳しく解説していきましょう。
世界のゴミ問題
イギリスのリスク分析会社が発表した、世界194カ国から排出される年間のゴミ排出量は約21億トンと推計されています。その中で実際リサイクルされているものは約16%しかありません。
それでは、リサイクルされていないゴミによって発生している問題を3つ紹介していきましょう。
地球温暖化の推進
ゴミの多くは焼却処分されています。しかし、焼却の際に温室効果ガスである二酸化炭素を大量に発生させてしまい、地球温暖化を増長させてしまっているのです。特に生ゴミは水分をたくさん含んでいるため、二酸化炭素の排出量が多いことが問題視されています。
生き物への悪影響
ゴミの中には不法投棄されているものもあります。化学物質を含むゴミが川や海に流れると赤潮の原因になります。赤潮が発生すると酸素不足になり、海の生物が死滅することに繋がります。
実際に沖縄ではサンゴ礁が減っていっている問題が発生しています。
ゆくゆくは人間へ返ってくることも
今問題となっているものの中にマイクロプラスチックがあります。マイクロプラスチックとは、小さくなったプラスチックのことです。
ビニール袋やストローがボロボロになり、細かくなったものや米作りに使われる肥料、洗濯の排水に含まれる繊維などさまざまあります。
このマイクロプラスチックは魚の体内に溜まりやすく、それを人間が食べると人体に影響があるとも言われています。
リサイクルの基本3R運動とは?
リサイクル活動において、ゴミを減らすキーワードとして3R運動があります。3R運動とは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRをもじった造語です。
リデュースとは、発生抑制という意味でゴミになるものを減らすことです。例えば買い物ではマイバッグを使う、シャンプーは詰め替えできるものを選ぶ、包装を減らすなどといったことを指します。
リユースとは、再利用という意味です。いらなくなったものをすぐに捨てるのではなく、フリマで販売したり、人に譲ったり、加工して新たに違う商品にするなどといったことを指します。
リサイクルは再生利用という意味です。缶やペットボトルなど、再生利用できるものはきちんと分別してゴミに出す、再生材を使用したものを購入するといったことを指します。
世界のリサイクル事情
ゴミの分別方法やリサイクル方法は世界各国で異なっています。特に環境先進国と呼ばれるヨーロッパはゴミ問題に早くから取り組んでおり、制度が進んでいます。
世界各国のゴミ処理方法とリサイクル方法について解説していきます。世界各国の対応について学んでいきましょう。
スウェーデン
スウェーデンでは、家庭から出るゴミの約99%が何らかの形でリサイクル、またはエネルギー減として再利用されています。
家庭から出る可燃ゴミの収集にはお金がかかります。金額は住んでいる市によって異なりますが、一般的な家庭の平均は日本円にすると1年間で約3万円です。
資源ゴミについては住宅地に分別リサイクルBOXが設置されています。透明ガラス、色つきガラス、プラスチック、厚紙、新聞、金属といった6種類に分けてゴミを入れられるようになっています。
また、最近ではコンポスト専用のリサイクルBOXも設置されるようになりました。コンポストとは、生ゴミを堆肥に変えるもので、生ゴミを再利用できるほか、燃焼させる際に排出される二酸化炭素を防ぐこともできます。
アイルランド
アイルランドは環境保護、基準に厳しいEUに加盟していることもあり、ゴミの削減やリサイクルに努力をしている国です。
特にプラスチック廃棄に対して厳しくしており、2021年の7月から綿棒やストロー、ポリスチレン容器などの使い捨てプラスチックの製造販売を禁止しています。
ゴミ箱は3種類に分けられており、黒いゴミ箱にはリサイクルできない汚物、緑のゴミ箱にはリサイクルできるもの、茶色は草木などをいれるルールがあります。
黒いゴミ箱の中身は重量で支払う仕組みにしているため、各家庭でゴミの排出量を減らす努力が行われています。
また、洋服は専用のリサイクルBOXがあり、不要になったものを入れるのですが、希望者は持ち帰ることもできるといった施策も行っています。
デンマーク
デンマークは環境先進国としてゴミ削減やリサイクルに対して、積極的に活動を行っています。
例えば、ゴミに関しては全てのゴミの収集を有料としています。家庭から出るゴミの収集は業者との契約が必要です。契約の際はゴミの量によって毎週、隔週、3週間、月に1回と収集回数を選ぶことができますが、当然頻度が高いほど金額はあがります。
家庭ゴミ以外のゴミは各地域にあるリサイクルセンターに持ち込むことが可能です。利用料金は税金で支払っているため、利用しないと損な気持ちになりますよね。デンマークでは、そういった方法で不法投棄を防いでいるのです。
リサイクルに関しては、缶やビン、ペットボトルの飲み物はデポジット制になっています。スーパーマーケットなどに設置している専用の回収マシンに空き容器を入れると自動的に返金額が計算されてお金が出てきます。ちなみにですが、このデポジット分は寄付が可能です。
アメリカ
アメリカのゴミ分別は州や市によって大きく異なります。例えばサンフランシスコ州では、青色、緑色、黒色と3種類のゴミ箱が設置されています。
青色はリサイクルできるゴミを入れるもので、プラスチックやガラス、缶や紙などをいれます。緑色はコンポスト専用のゴミ箱で生ゴミや食べ物が入っていた紙容器、草木をいれます。黒色は青、緑以外のゴミを入れます。
サンフランシスコ州には焼却施設がないため、黒色のゴミ箱に入れたものはすべて埋め立てられます。
アメリカは国土が広いため、燃やすよりも埋め立てる方が費用や人手がかからないと考えのもと焼却という方法をとっています。しかし、埋め立て地は無限でないため、処理方法については今後変更されるかもしれません。
また、サンフランシスコでは3R運動に加え、ロット(Rot)という活動を行っています。ロットとは、生ゴミを堆肥化させて再利用する取り組みのことです。アメリカでも二酸化炭素の排出を防ぐ活動が行われています。
中国
中国では2017年に「生活ゴミ分別制度実施計画」という条例を公表しました。北京市や上海市など46の重点都市においては、生活ゴミの分別を行わないと罰則が与えられます。
生活ゴミは「リサイクル資源(缶、ビン、ペットボトルなど)」、「湿ったゴミ(生ゴミなど)」、「乾いたゴミ(紙くずやおむつ、その他のゴミ)」、「有害ゴミ(乾電池や蛍光灯など)」の4種類に分別して出すことを義務化しています。
もし違反した場合、個人では最高で200元(日本円で約3100円)、企業では最高5万元(約80万円)もの罰金を科すといったかなり厳しくしています。
回収されたゴミは分離器にかけられ、29種類と細かく選別し、これらをリサイクル会社に販売しています。例えば生ゴミは有機肥料にし、販売しています。
リサイクルの技術は向上している

ゴミを減らすことは環境を守り、地球温暖化の進行を抑えるためにも重要なことです。特に二酸化炭素の排出を防ぐために、多くの国で生ゴミを堆肥化させる取り組みが行われています。
日本では現在CO2(二酸化炭素)を利用したカーボンリサイクルが進められています。
カーボンリサイクルとは、CO2を素材や燃料として活用し、新たな製品を作ることです。
現在製品として登場しているのはポリカーボネート(プラスチック素材)やバイオ燃料などですが、まだまだコスト面や技術面では改良が必要です。しかし、2030年を目安に一般的に普及するように研究開発が進められています。
リサイクルの技術は年々上がっているので、これからもさまざまな製品が増えていくでしょう。
しかし、それだけではゴミ問題は解決しません。
あなたも小さなことからでもいいので、できることから始めてみませんか?