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プラスチックのリサイクル方法!マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリサイクルそれぞれわかりやすく解説

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最近、何かと取り上げられることの多いプラスチック製品。「プラスチック製品は使用を控えた方が良い」「プラスチック製品のリサイクルが必要」などの意見が飛び交っていますが、そもそもなぜこんなにプラスチックが話題になっているのでしょうか?

そこで、今回は「プラスチックのリサイクル方法」をテーマとして取り上げます。プラスチックのリサイクルが注目されている理由や、プラスチックの3つのリサイクル方法、そして新しいプラスチックまで、最新のトレンドを解説します。


なぜプラスチックのリサイクルが必要?

そもそも、なぜプラスチックのリサイクルが必要なのでしょうか?最も大きな問題は、プラスチックが環境に大きな負荷をかけていることです。

プラスチックは埋めてもすぐには土に還りません。自然に分解されるには何百年といった長い年月が必要なのです。プラスチック製品が増え、廃棄されるプラスチックが多くなると、溢れたプラスチックが土地を汚すことになります。


また、海洋汚染問題も深刻です。プラスチックは海に捨てられてもやはりそのままの状態で水中を漂います。すると、魚や貝、くじらなどの海の生物たちがエサと間違って食べてしまうのです。

プラスチック製品により体を傷つけてしまう海洋生物は後を絶ちません。軽くて丈夫で、ペットボトルなど身近なものに多く使われているプラスチックは、海に不法投棄される機会も多く、それだけに大きな問題だと言えるでしょう。


プラスチックは便利で、私たちの生活に欠かせないものですが、環境汚染が進むことで困るのもまた私たちです。

プラスチックをただゴミとして廃棄せずしっかりリサイクルする取り組みは、使い捨てプラスチック製品の削減と合わせて現在世界のトレンドとなっています。



プラスチックのリサイクル方法は3種類

プラスチックのリサイクル方法は大きく次の3つに分かれます。

  • マテリアルリサイクル
  • ケミカルリサイクル
  • サーマルリサイクル

それぞれ、どのようなリサイクル方法なのか詳細を見ていきましょう。


マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、プラスチックごみを溶かして原材料に変え、その後またプラスチックの製品に加工するリサイクル方法です。

「再生利用」とも呼ばれる方法で、私たちが「プラスチックのリサイクル」と聞いた時、1番はじめにイメージするリサイクル方法ではないでしょうか。マテリアルリサイクルでは、次のような順序でリサイクルが行われます。


  1. プラスチックごみ(廃プラスチック)の回収
  2. ごみに混ざっている不純物を取り除く
  3. 洗浄や粉砕ののち加熱して溶かす
  4. 原料に戻ったプラスチックを再加工

マテリアルリサイクルでは、原料のプラスチックに戻すために混入した不純物を徹底的に除去する必要があります。

そのため、以前は異物の混入が少なく除去しやすい産業系のプラスチックゴミがマテリアルリサイクルの対象でした。

現在では分別や加工の技術が向上したことや容器包装リサイクル法の施行により、一般家庭から出るペットボトルなども対象になっています。


ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルはプラスチックごみに化学的な処理を施し、さまざまな燃料などに変えて利用することです。

前項で紹介したマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの最も大きな違いは、マテリアルリサイクルがプラスチックをもう一度プラスチック製品の原材料として活用するべく処理を行うのに対し、ケミカルリサイクルでは基本的にそのままプラスチックとして再利用することを目指しません。


マテリアルリサイクルでは異なる種類のプラスチックが混ざらないようにするなど、不純物の除去が重要でしたが、ケミカルリサイクルではそこまで厳密に異物を除去する必要がない点が大きなメリットになります。

ケミカルリサイクルの主な種類には次のようなものがあります。

  • ガス化:プラスチックを超高温で分解しガスにして活用する
  • 原料・モノマー化:プラスチックの分子を最小単位まで分解して活用する
  • 高炉原料化:高炉で還元剤として活用する
  • 油化:油に戻して活用する

油化は1970年代から技術開発が進められ、技術的にはほぼ確立されていますが、コスト面などのハードルが高いことから現在ではあまり使われていません。


サーマルリサイクル

サーマルリサイクルはプラスチックごみを燃やす時に発生する熱エネルギーを活用する方法です。固形燃料などにして使うこともあります。基本的に燃やす際のエネルギーを回収する方法なので、プラスチックに不純物が多く混入していて取り除けない場合でも実施できるリサイクルとして知られています。


3つのリサイクル方法の中で最も活用されているのは?日本のプラスチックリサイクルの現状


マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリサイクル、3つのリサイクルの違いがわかったところで、日本におけるプラスチックリサイクルの現状を見てみましょう。


日本の廃プラスチック(プラスチックごみ)の有効利用率は年々増加しています。2005年には58%だった有効利用率は翌年2006年には約10%アップの69%、2011年には78%まで上がり、最新のデータとして提示されている2021年の資料では87%になっています。15年程度で30%程度も増加しているのです。関係者の方の素晴らしい努力の賜物と言って良いでしょう。

リサイクル方法の内訳は、マテリアルリサイクルが21%、ケミカルリサイクルが4%、サーマルリサイクルが62%となっています。


87%という数値はもちろん誇るべきものですが、世界的なリサイクル基準の場合、サーマルリサイクルはリサイクル率に含まないことが多いなどの問題点もあります。今後は世界の基準とのすり合わせも必要となってくると言えるでしょう。


※参考資料→https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf


リサイクルと合わせて注目されているバイオプラスチック

リサイクルとあわせて現在注目を集めているのがバイオプラスチックです。バイオプラスチックには、主に次の2種類があります。


  • バイオマスプラスチック
  • 生分解性プラスチック

バイオマスプラスチックは、原料に植物などに有機資源を使ったプラスチックです。この有機資源は再生可能であるため化石資源など、地球の有限なエネルギーを無駄遣いせずに済みます。

また、現状では従来のプラスチック同様そのままでは自然に還らないものがほとんどですが、燃やす際の温室効果ガス排出を抑えられるなど、自然に優しいメリットが多くあります。


生分解性プラスチックは微生物などの働きによって、水と二酸化炭素に分解される画期的なプラスチックです。

従来のプラスチックに比べてかなり短時間で分解が進むため、もし不法投棄などがあっても、自然への悪影響を抑えることができます。海洋汚染などの問題で大きな効果を発揮すると考えられています。


バイオプラスチックは、日本でも多くの企業が導入を進めています。例えば、花王株式会社ではシャンプーやリンスなどのボトルの一部にバイオマスプラスチックを使用しています。

株式会社ファミリーマートでも、お弁当や麺、サラダなどの容器の一部にバイオマスプラスチックを活用していますし、同じくコンビニエンスストアを運営する株式会社セブン&アイ・ホールディングスが販売するプライベートブランドの商品の外包材も、一部はバイオマスプラスチックです。スーパーマーケットで有名なイオン株式会社のプラスチック製ビニール袋にもバイオマスプラスチックが使われています。


このように、プラスチックのリサイクルと一緒に「新しいプラスチック」について考えていくことも必要だと言えるでしょう。


導入企業参考資料→https://www.env.go.jp/recycle/plastic/bio/pdf/mat21012630_2.pdf


プラスチックのリサイクル方法や新しいプラスチックについて理解し今後の行動につなげましょう


今回は「プラスチックのリサイクル方法」について取り上げました。現在、世界的に使い捨てプラスチックの使用削減や、プラスチックのリサイクルについて叫ばれています。以前に比べ、「環境問題を意識し、環境に優しい行動をとる」ことはずっと一般的になりました。


プラスチック製品は私たちの生活に浸透している便利なものですので、すぐになくすことはできません。しかし、リサイクル方法や新しいプラスチックについて理解し、今後を見据えた行動をとることは、これからの社会を生きていく上で大切なことだと言えるでしょう。

お客様の中にも環境問題への意識が高い方が増えています。環境問題を意識した取り組みをアピールすることで、お店のファンも増えるのではないでしょうか。

    ここにあなたのご意見をお聞かせください。

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