増える冷凍自動販売機!飲食店業界の新たな救世主登場か?
最近、都市部を中心に少し変わった自動販売機が登場しています。
販売しているのはドリンクではなく、餃子やピザ、ラーメン、お惣菜など。
なんと、スーパーやコンビニエンスストアで扱っている冷凍食品が自動販売機で売られているのです。
「自動販売機と言えば、ドリンクかアイスじゃないの?」と思われる方が多いと思われますが、実はこれらは「食品用の冷凍自動販売機」。
2021年初頭から爆発的に設置が増えている新しい自動販売機なのです。
そこで今回はこの「冷凍自動販売機」をテーマとして取り上げることにしました。冷凍自動販売機が開発されたきっかけから、導入のメリットまで、徹底的にご紹介します!
コロナ禍で急増!冷凍自動販売機の需要
2021年のはじめ、それまでアイスクリームの販売がメインだった冷凍自動販売機の業界に画期的な新商品が登場しました。
その名も「ど冷えもん」。
サンデン・リテールシステム株式会社が開発した、さまざまなサイズやバリエーションの冷凍商品を扱える食品用の冷凍自動販売機です。
家庭用の100ボルト電源で稼働でき、どこにでも簡単に設置可能なことから、多くの企業や飲食店が参入。
たちまち大人気となり、約2年経った現在では、大きな都市の街中で一般的に見かけるまでになりました。
冷凍自動販売機が生まれたきっかけ
食品用の冷凍自動販売機が開発されたきっかけは、2010年代半ば以降、飲料用の自動販売機の設置台数が伸び悩んだことにあります。
次世代の自動販売機の開発が急務となった現場でヒントとなったのが、当時大きく取り上げられた「お一人様」や「孤食」などの言葉です。
コンビニエンスストアやスーパーで1人前の冷凍食品の売上が伸びるようになったことに後押しされ、「1人前の冷凍食品が24時間買える自動販売機を作ろう」というコンセプトのもと、「ど冷えもん」は生み出されたのです。
飲料の缶やペットボトルに比べ、冷凍食品はサイズや形がさまざまな点がネックとなりましたが、複数のパターンのストッカーを組み合わせることで問題を解決しました。
コロナ禍の「中食」需要にマッチした冷凍自動販売機
食品用の冷凍自動販売機普及を後押ししたのが2020年の初頭から現在まで猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症です。
店内での飲食が制限されたことから、デリバリーやテイクアウトなど「中食」の需要が急増。
「ゴーストキッチン(ゴーストレストラン)」という言葉もよく耳にするようになりました。 店頭で待つことなく、欲しい時、いつでもすぐに商品を手にすることができる冷凍自動販売機は、この「中食」需要にマッチしたのです。
冷凍自動販売機のメリット
冷凍自動販売機は、買い手だけでなく設置側の企業や飲食店にも大きなメリットがあります。主なメリットは以下の5点です。
①営業時間外の売上に貢献してくれる
②個人店でも気軽に利用でき、どこでも設置可能
③簡単に商品を補充できる
④高額商品の販売も可能
⑤食品のロスが少ない それぞれについて詳しく見ていきましょう。
営業時間外の売上に貢献
まず1つ目の「営業時間外の売上に貢献してくれる」についてです。
冷凍自動販売機が24時間稼働してくれることにより、店舗の閉まっている深夜の時間帯でも売上を出すことができるようになりました。
お客様の対応をするスタッフが必要がないため、人件費を抑えることもできます。
特にコロナ禍で緊急事態宣言が発令されていたときは、営業時間の短縮を余儀なくされていたこともあり、大きな成果を上げました。
時間外に冷凍自動販売機を利用したお客様が営業時間内にもリピート利用するという相乗効果も生まれています。
それまでも飲食店の店内で冷凍食品を販売していた店舗はありましたが、「店員に注文するのが面倒」、「注文した後、待たされる可能性があるのが嫌」というより意見もあり、そのようなお客様を中心に「これなら手軽で簡単だ!」と冷凍自動販売機が重宝されるようになっています。
どこにでも設置可能!個人店でも利用OK
次に2つ目の「個人店でも気軽に利用でき、どこでも設置可能」なことについてです。
それまで、冷凍自動販売機は屋根のある屋内に設置することを想定して作られていました。
しかし、「ど冷えもん」はそれを屋外でも利用可能なものに改良。雨風やほこりの被害を防ぐ機能を追加したほか、家庭用の電源で動くよう改良を加えました。その結果、店内が狭い店舗なども、お店のすぐ外などに設置できるようになったのです。
さまざまなサイズの商品に対応しており、個人店でよく利用されている簡易包装のような状態の冷凍食品でも販売できるため、少ない人数のスタッフで切り盛りしている小さなお店も次々と導入を決めています。
補充が簡単
続いて、3つ目の「補充が簡単」なことについてです。 従来設置されている飲料用の自動販売機は専用の業者が商品の入れ替えを担当していることが多く、補充の方法が専門的で難解でした。
「ど冷えもん」はその部分を大きく改良。
誰でも簡単に商品を入れ替えられるようにし、設置した企業や飲食店のスタッフが自分たちで商品を管理できるようにしたのです。
在庫の売れ行きもパソコンやスマートフォンでわかるため、「いつの間にか売り切れていて補充が遅れた」というようなこともありません。 「この商品をもっとたくさん販売したい」、「今日だけこれを売りたい」など、店舗によって発生するその日その日の需要にもフレキシブルに対応可能です。
キャッシュレス決済との組み合わせで高額商品も売れる
4つ目の「高額商品の販売も可能」なことについても考えていきましょう。
食品は飲料に比べ価格が高額です。
現金以外の決済方法が浸透しつつあることから、「ど冷えもん」ではキャッシュレス決済のオプションを充実させました。
電子マネーやQRコード決済にも対応させることで、コンビニエンスストアなどと同じように利用できるよう工夫しています。
実際に、キャッシュレス決済のオプション機能を活用している冷凍自動販売機では、1,000円を超える商品もしっかりと売上を上げています。
食品のロスが少ない
最後に、5つ目の「食品のロスが少ない」ことについてです。
冷凍食品は賞味期限が長いことで知られています。
そのため、商品を廃棄しなければいけないことが少なく、販売する商品をきちんと選定すれば確実に利益を出すことができるのです。
天候等が客足に大きく響く飲食店業界で、安定的な利益を生み出すことのできる冷凍自動販売機は、まさに救世主的な存在であるといえるでしょう。
今後は常温・冷蔵・冷凍同時販売やエンタメ利用も
「ど冷えもん」の大ヒットを受け、冷凍食品だけでなく、常温や冷蔵の商品も同時に販売できる新たなモデルも開発されました。
それぞれの商品で消費・賞味期限を個別に設定できる機能も備わっています。
また、今いる場所の近くにある「ど冷えもん」をお客様が簡単に探せる「ど冷えもんGO」というアプリもリリースされ、人気を伸ばしています。
「ど冷えもんGO」では、販売されている商品の口コミをシェアすることができるので、口コミを読んで目当ての商品を購入しにくるお客様も登場しています。
その他、人気の「ガチャガチャ」の要素を取り入れつつ「ど冷えもん」を利用している飲食店も登場し始めました。
「1,000円で高額商品がゲットできるかも?」を売りにした、「何の商品が出るかわからない」自動販売機です。
「運試しの要素があって面白い」と、SNSを積極的に利用している若い層を中心に評判を集めています。
冷凍自動販売機で飲食店業界に新たな風を
今回は「食品用の冷凍自動販売機」について取り上げました。
コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食店業界ですが、ピンチは新たなアイディアを生み出すチャンスでもあります。
都市部を中心に利用が広がっている冷凍自動販売機。
新しい機能を積極的に活用し、さまざまな方法で売上アップを狙う店舗が増えています。
飲食店業界に吹く新たな風から、これからも目が離せません。