August 29, 2023

真空調理とは~素材の旨味を最大限に引き出す画期的な料理法~

真空調理は高級レストランなどで使われていた調理法ですが、近年病院や老後施設などでも活用され始めています。


食材を美味しく、かつ栄養を保ったまま調理できるなど、さまざまなメリットがあり、新調理システムの1つに挙げられています。


ここでは、真空調理のメリット・デメリット、真空調理に必要な調理器具、クックチルとの違いなどを細かく解説しています。


・真空調理を導入しようか検討している

・真空調理について知りたい


上記に当てはまる方はぜひ最後まで読み進めてください。

 

真空調理とは?~料理の常識を変えた新たな手法~

 

真空調理とは、新調理システムとも呼ばれる調理法で1979年にフランスで開発されました。


食材と調味料を専用の袋に入れ、真空パック器で真空密閉し、湯煎やスチームコンベクションなどで低温加熱(95℃以下)して調理します。


95℃以下の温度で加熱するため、一般的な調理方法よりも熱の入り方が柔らかい特徴があります。


加熱後はブラストチラーなどの急速冷却機で急速冷凍し保存します。


大量調理する際に手間がかかるかもしれませんが、食材の旨味を活かせる、栄養を損なわないなど、さまざまなメリットがあります。


ホテルやレストランはもちろん、今では病院や老後施設などでも活用されています。

真空調理のメリットとデメリット~メリットだけではなくデメリットを知っておくことも重要~

 

 

真空調理法にはメリットとデメリットがあります。真空調理は向いている料理と向いていない料理があるため、これらを把握してどう活かすか参考にしてください。


真空調理のメリット

調味料を少なくでき、味も染みこみやすい
真空調理では袋の中を密閉状態にするため、食材に調味料が染みこみやすくなります。また、通常の調理よりも調味料を少なくしても、しっかり味が浸透するので調味料の節約になるほか、塩分を控えめにしても味がつきやすくなります。

お肉を柔らかくできる

真空調理では95℃以下の低温で調理するため、ゆっくりと火が入ります。そのため、たんぱく質の凝固を緩やかにすることや水分が抜けにくくなるため、特にお肉は柔らかく仕上げることができます。

栄養素を損ないくい

真空状態で調理するため、食材の栄養素の流出を最小限にすることができます。特にビタミンは水溶性のものが多いため、一般的な調理方法(特に煮る作業)の中で流出してしまうことが多いです。
病院や介護施設など、栄養面に気を配っているところにおいて重要な栄養素の流出を防げる点で真空調理は画期的な調理方法でしょう。


真空調理のデメリット

衛生管理が悪いと食中毒が出る恐れがある

真空調理は低温調理のため、食中毒を起こしてしまう恐れがあります。

食中毒のリスクを避けるためには、

「手洗いを徹底する」「調理時には手袋をはめる」「まな板や包丁などの調理器具の洗浄・消毒を徹底的に行う」「できる限り新鮮な食材を使う」など守ることが必要です。

焼き料理には向いていない

真空調理ではステーキのような香ばしさは出せません。香ばしさを出すためには150度以上に加熱して、メイラード反応を起こす必要があります。

真空調理の場合、95度以下で調理するため、メイラード反応を起こすことができません。

初期コストがかかる

真空調理を行うためにはさまざまな調理器具を購入しなければいけません。必要な器具は次に紹介しますが、全て揃えるとなると最低でも300万円程度はかかるでしょう。

真空調理器具の選び方~失敗しないためのおすすめのポイント~

真空調理に必要なものは主に「真空パック器」「ブラストチラー」「スチームコンベクション」の3つです。

それぞれの調理器具の選び方や知っておきたいポイントを解説していきましょう。

真空パック器の選び方

真空パック器は値段が上がるほど、機能面や容量が大きくなる傾向があります。

まず知っておきたい点として、真空パック器には「吸引溝タイプ」と「ノズルタイプ」の2種類の脱気方法があることです。

ノズルタイプは手軽で使いやすく、価格も安い傾向にありますが、空気が入りやすく真空調理にはあまり向いていません。密閉力のある吸引溝タイプがおすすめです。

また、真空調理をする際や保管時に空気が漏れださないよう、シール時間を長めにできるタイプを選びましょう。

専用の袋を購入する際も注意が必要です。袋の素材によって「シールのみ可能なもの」「脱気からシールまで可能なもの」とあるので、必ず脱気からシールまで可能なものを選ぶようにしましょう。

ブラストチラーの選び方

新品か中古品か

ブラストチラーはメーカーや容量によって価格は異なりますが、どちらにしてもかなり高額になります。

そのため、中古で購入するか新品を購入するかで迷うでしょう。

まず中古品と新品の違いでいうと保守サポートがあるかどうかです。中古品にも保守サポートがついている場合はありますが、対応が遅かったり、不具合によっては対応してもらえなかったりします。

また、新品の場合、リース購入も可能です。月々の支払いはあるものの、万が一商品が合わなかったり、途中で辞めたりすることができる点でリースはおすすめです。

サイズや機能面

ブラストチラーの容量で価格は大きく異なります。容量を大きくすると百万円単位で価格が変わります。

ブラストチラーは真空調理以外にクックチルなどにもさまざまな調理法に対応できるため、活用方法やお客様の規模で容量を選ぶといいでしょう。

機能面ですが、自動洗浄がついているもの、食材の凍結を防ぐ機能がついたもの、霜取り機能がついたものなどメーカーによってさまざまです。

清潔に使用していくために洗浄機能や殺菌システムなどはあった方がいいかもしれません。

スチームコンベクションの選び方

スチームコンベクションの選び方はブラストチラーとほとんど同じです。

こちらも非常に高価な調理器具であるため、新品か中古、どちらを購入するのか、機能面やサイズ面などもレストランの規模や作るものをみて検討しましょう。

ただ、一点知っておいてほしいことが電気式かガス式の型式に分かれているところです。

電気式は熱回りが均一でムラなく仕上がりやすいメリットがあります。ガス式は火力が強く、立ち上がりが早い点があります。

どちらを選んでもさほど大きな差はありませんが、電源設備において、電気式は200V電源が必要になります。ガス式は100V電源があれば使用できるので、電気設備を確認したうえでどちらを購入するか検討するといいでしょう。

クックチルと真空調理法の違いとは?~似ているようで異なる点を解説~

クックチルは真空調理と並んで新調理システムの1つです。

クックチルを簡単に紹介すると、「加熱調理した後、90分以内に急速冷凍し、食事を提供するタイミングで再加熱する調理法」です。


真空調理と似たような調理法ですが、袋詰めして真空したものを加熱するものが真空調理、通常の加熱調理後に急速冷凍するものがクックチルです。


また、ニュークックチルという調理法もあります。これは加熱調理後に急速冷凍するまではクックチルと同じです。その後盛り付けを行った状態でチルド保存する点でクックチルと異なります。


提供時には器ごと再加熱し、そのまま提供できるため、病院や老後施設などで活用され、スタッフの負担軽減に貢献しています。

真空調理は画期的な調理方法

真空調理は食材の良さを引き出し、なおかつ栄養を損なわない画期的な調理方法です。

ただし、メリットを活かすためには加熱段階や食材の下ごしらえの段階で注意が必要になります。


導入時には真空調理の研修やマニュアルをしっかり作りこむなど教育を行いましょう。

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