フードロスの現状と削減に向けた取り組みとは?私たちができることを3つ紹介します

SDGsの目標の1つでもあるフードロスの解消。一度はテレビのニュースで大量の食材が廃棄されている姿を見たことがあるのではないでしょうか。
現在行政が主導となり、企業や消費者に向けてさまざまな取り組みを行っています。
本記事ではフードロスの現状と起きる原因や問題。そしてフードロス解消に向けての取り組みについて解説しています。
現在の状況を把握して、自分たちができることは何か探っていきましょう。
フードロスの現状について
まだ食べられるにも関わらず捨ててしまうことをフードロス(食品ロス)と言います。農林水産省が発表した、日本における1年間のフードロスの量とその原因や問題について解説していきます。
日本のフードロスは年間約612万トン
日本で1年間に廃棄している食品は約612万トンと言われています。これは東京ドームに置き換えると約5杯分となります。
そうはいってもなかなかピンと来ませんよね?このフードロスを国民1人当たりに換算すると1日当たり茶碗1杯分のご飯の計算になります。
フードロスが起きる原因
フードロスが起きてしまう原因は主に事業者からでるものと家庭から出るものの2つです。
事業系フードロス:スーパーやコンビニなどの小売店で売れ残ったものや期限切れの食品、レストランでの食べ残し、農産物において販売できない規格外品など
家庭系フードロス:家庭において食べ残しや使わないまま捨ててしまう、他には食品の皮のむき過ぎによる廃棄物など
日本は食料自給率が約4割と低く、多くの食品を輸入で手に入れているにも関わらず、たくさんの食品を廃棄しているという矛盾点が発生しています。
フードロスが起こす問題
フードロス=もったいないだけではありません。フードロスは、さまざまな問題を起こしています。
どういったものか具体的に解説していきましょう。
環境に対する負荷がかかっている
フードロスを処理する際は基本的に焼却方法が用いられます。この時、食品には水分がたくさん残っているため、燃やしきるためにはたくさんの燃料が必要です。また、燃やす際に出る二酸化炭素も地球温暖化を助長しています。
食料難問題につながる
世界におけるフードロスは、年間13億トンにものぼると推計されています。世界で生産される食料は年間40億トンといわれているため、生産したものの約3分の1を廃棄していることになります。
実はこのフードロス問題は先進国だけではなく、途上国でも起きています。
先進国では、生産過剰によるものや販売物の審査が厳しいことによる廃棄などが原因です。
途上国では、収穫技術や保存設備などが不十分であるため、廃棄物もたくさん出てしまっています。
現在世界人口は年々増えており、今後も増加の一途をたどっていくと予想されています。それにも関わらず、このようなフードロスを起こす状態を続けていくと、食料難による栄養不足で苦しむ人々が増えるでしょう。
フードロス削減に対する取り組み
フードロス削減に関しては国を挙げて取り組みを進めています。国としては,、令和元年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称 食品ロス削減推進法)を施行しました。
食品ロス削減推進法とは、食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体等の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定その他食品ロスの削減に関する施策の基本となる事項を定めること等により、食品ロスの削減を総合的に推進することを目的としています。
出典:消費者庁
国が食品関連事業者や消費者に向けて食品ロス削減のための取り組みを促進させるための活動を行っています。
具体的な活動の例をいくつか紹介しましょう。
フードバンク活動
フードバンクとは、食品を扱う事業者から過剰在庫や規格外品など捨てられる食品を引き取って、食品を必要としている施設や団体、困窮世帯などに提供する活動です。
農林水産省もこの活動を支援しており、食品を提供した事業者に対しては税制上の優遇措置を行っています。
事業者はこの優遇措置を受けられるほか、廃棄コストの削減や企業のイメージアップに繋がるメリットがあります。
賞味期限や販売期限の延長
食品事業者において、これまで3分の1ルールというものがありました。メーカーから販売業者に納入される期限は、製造日から賞味期限までの3分の1というルールです。
また、店頭で販売できる期限は製造日から賞味期限までの期限の3分の2までとされており、それらを過ぎると例え賞味期限内であっても返品、または廃棄処分しなければいけませんでした。
似たようなルールは海外でも存在していますが、日本は国際的にみてもルールが厳しいため、廃棄する食品が多いことが問題でした。
これらの問題緩和のために販売期限の緩和や賞味期限の延長、見切り品の販売促進などを行うようメーカーや小売業者に促しています。
容器包装の工夫
容器包装を工夫することによっても食品ロスの削減は行えます。
キッコーマンの醤油を例に挙げてみると、容器を2重構造にしており、開封後も酸素に触れにくくし、酸化による劣化を防ぎ、賞味期限を長くしています。
他にも野菜などを入れる袋では、最適な酸素状態を保てるような工夫をしています。結露を防ぐことで包装内を清潔にし、劣化を防いでいます。
また、食品を入れる容器では1人前ずつ、食べきれるサイズにすることで食品ロスを防ぐ工夫をした商品が増えてきています。
私たちができること

フードロス削減は国や地方自治体といった行政が主体となって、メーカーや小売業者に促すよう進めています。しかし、個人である私たちも家庭から出てしまうフードロスの削減のためにできることはあります。
具体的にできることを3つ紹介していきましょう。
余計なものは買わない
買い物をする際は、事前に冷蔵庫に何があるのかをチェックするようにしましょう。特に安売り商品はつい購入してしまいますが、家に残っていた場合、フードロスになる可能性があります。
必要のないもの、必要以上に食品を購入せずに、自分が食べきれる量だけ購入しましょう。
そのためのツールとして、冷蔵庫の中の食品を管理できる「リミッター」というアプリがあります。このアプリは写真を撮ることで冷蔵庫内の食品を管理できるほか、賞味期限の登録をすることで期限前に通知が来るようになります。
商品はバーコードをカメラで読み込むことで登録ができるので、非常に簡単です。
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食材を無駄にしないように調理をする
料理をするときは同じ食材ばかり使わず、冷蔵庫にある食材をバランスよく使うようにしましょう。できるだけ古い食材や賞味期限前の調味料を使うなどして廃棄が出ないようにします。
今はネットでさまざまなレシピが紹介されています。食材を入力するだけで、おすすめのレシピが出るので活用してみましょう。
他にも「pecco」という、冷蔵庫の管理と残っている食材で栄養バランスの取れたレシピを提案してくれるおすすめのアプリもあります。ぜひ活用してみてください。
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外食時は食べきれる量を注文する
外食時は自分が食べきれる量を注文するようにしましょう。
会社や友人と行く宴会などは特に食べ残しが発生しています。これら防ぐためにできることとしては、単品の場合、少量ずつ注文をする。コース料理の場合は品数が多すぎないようにする、食べきるように事前に話しておくなどといった工夫を行い、フードロスを防ぎましょう。
もし食べきれない場合は持ち帰りができることもあります。事前にお店に確認をして、持ち帰りができるか確認しておくといいでしょう。
まとめ
フードロスの削減は食べ物をムダにしないだけではなく、地球環境のためにも大切なことです。フードロスの量を世界全体で見ると何億トンという想像ができない量ですが、1人当たりだとお茶碗1杯分。これだと想像がつきやすいですよね。
1人1人が取り組んでいくことで確実に削減できるはずです。まずは自分ができることから始めてみませんか?