August 03, 2023

今すぐできる!飲食店の利益率をアップさせる取り組み

「売上はそれなりにあるはずなのに、なぜかカツカツだ」「いつも満席なのに儲からない」など、店舗の利益率に関する悩みを抱えている飲食店オーナーの方は多いのではないでしょうか? そこで今回は「飲食店の利益率向上」について特集。今すぐできる利益率アップのための工夫について紹介します。そもそも「利益率」とはどんな数値なのか、利益率が低くなる原因は何なのかなどについても解説しますので、ぜひお読みください。

 




利益率とは?飲食店の営業利益率の目安


そもそも「利益率」とはどのような数値なのでしょうか? また、飲食店を経営する場合、利益率はどの程度を目安にすれば良いのでしょうか?


利益率とは?


「利益率」と一言で表現した場合、該当するものは複数種類あります。その中でも飲食店においてよく指標となっているのが「粗利益」と「営業利益」の2つです。


「粗利益」は、提供するメニューがきちんと利益を出せているかを調べるための数値です。料理の売上金額から料理の原材料費を差し引いたものを「利益」として考え、それが売上のどのくらいの割合なのかを考えます。1,000円売上ていても、材料費に1,500円かかっている海鮮丼では提供すればするだけ赤字になってしまいますよね。そのようなことが起こらないよう、メニューを適正な価格で調整するための指標です。


それに対して「営業利益」はもう少し複雑です。料理の原材料費だけでなく、家賃や光熱費、人件費なども経費として考え、それらを差し引いてもきちんと利益が出ているかどうかを判断するための数値となります。料理だけで考えれば十分黒字でも、アルバイトを雇いすぎて人件費が膨大にかかっていたり、高い家賃を払っていればトータル的には赤字になってしまいます。店舗の営業すべてを総合的に見る数値が「営業利益」なのです。


粗利益と営業利益はどちらも大切な数値ですが、今回は店舗運営に関して総合的に考えたいので、「営業利益率」を指標とします。


飲食店の営業利益率の目安


では、飲食店の「営業利益率」はどのくらいが目安なのでしょうか? 提供している商品の種類によってもかなりバラつきがありますが、一般的に、黒字になっている飲食店の営業利益率は5%前後だと考えられています。利益率の見直しをはかる際は、ひとまずこの数値を参考にすると良いでしょう。

 



利益率が低い理由

 

自店の利益率が目安の数値より低い場合、その理由を考える必要があります。飲食店で利益率が下がってしまうよくある原因は次の4つです。


家賃や人件費が高すぎる


1つ目は家賃や人件費に関する問題です。駅に近い店舗は、集客力がありますがその分家賃も高くなりがちです。また、アルバイトの人数を増やせば、接客や調理は楽になりますが、人件費がかかりすぎてしまいます。家賃や人件費は料理以外の部分のコストになりますが、金額が大きいため、まず見直しをはかりたいポイントです。利益率が伸び悩んでいる店舗は、これらのバランスが悪いケースが多いといえます。


提供する料理のコストに関する問題がある


2つ目は提供する料理のコストに関する問題です。原価の高い料理ばかり揃えてしまったり、原価の低い料理が存在していても注文が伸び悩んでいたりすると、なかなか利益率は上がりません。その他、発注管理に曖昧さがあり、廃棄する食材が多いことが利益率に影響している場合もあります。


回転率に問題がある


3つ目は回転率に関する問題です。常時満席で一見繁盛しているように見える店舗でも、少ない注文で長時間居座るお客様が多いとなかなか売上は上がりません。長い時間食事を楽しんでもらう場合はそれなりに多く注文してもらわなくてはなりませんし、もし多く注文してもらうことが難しい場合は回転率を上げななければ利益率も上がりません。


低価格競争に参加している


4つ目は低価格競争に関する問題です。周辺に激安店が多い場合、どうしても料理の価格を下げざるを得ません。仕方のないことではありますが、価格競争に参加し、「より安く」を追求してしまうと、個人店の場合、利益率は上がりにくくなります。

 

利益率を上げるためにできる工夫

 

利益率が低くなる原因を分析すると同時に、利益率を上げるための工夫をすることも大切です。利益率を上げるためにできる代表的な取り組みは下記のとおりです。


仕入管理を徹底して食品ロスを減らす


1つ目は仕入管理の徹底です。定期的に在庫の確認を行い、仕入過ぎて廃棄になっている食材がないか洗い出しを行いましょう。廃棄食材を減らすことは利益率向上に有益なだけでなく、食品ロス削減にも繋がります。冷凍食品など、日持ちする材料を活用したメニューを増やす工夫もおすすめです。


また、仕入管理による廃棄食材は少なくても、オーダーミスなどで食材が無駄になっているケースもあります。接客スタッフと話し合い、オーダーミスを減らす取り組みにも力を入れましょう。


回転率を上げる工夫をする


4つ目は店舗の回転率を上げる工夫をすることです。思い切ってメニューの数を絞ることで1組のお客様の滞在時間を短くしたり、4~6人向けのゆったりとした座席ではなく、1~2人向けのテーブルやカウンター席を増やすことで多くのお客様を入れたりする取り組みをしてみましょう。


もし、「お客様にはゆっくり過ごしてもらいたい」という希望がある場合は、客単価を上げる工夫や、追加注文をしてもらいやすくする取り組みが必要です。


スタッフの人数を調整する


2つ目は人件費削減に力を入れることです。家賃を今すぐ安くすることは難しくても、人件費は工夫次第で減らせます。お客様の少ない時間帯に、アルバイトの接客スタッフを配置しすぎていないでしょうか? 仕事中、手持無沙汰になることは、スタッフのやる気にも影響します。各時間帯のお客様の人数を洗い出し、適切な人数のスタッフを配置するよう心がけましょう。


原価率の低い料理や飲み物を売る工夫をする


3つ目は原価率の低いメニューを売る工夫をすることです。たとえば、原価率の低い料理や飲み物をメニューの目立つ場所に載せ、「おすすめ商品」にするのはいかがでしょうか? また、接客スタッフが注文を取る際、「○○がおすすめです。いかがですか?」とお客様に直接すすめる方法もあります。


旬の食材を使った限定メニューなどは原価が安くても「今が旬ですよ」とおすすめしやすい傾向にあります。もちろん原価率の高い華やかな目玉商品も大切ですが、それだけでは利益が出にくいので、双方を上手にミックスして売上をのばしましょう。


ポイントを押さえて利益率アップを!


今回は飲食店の利益率向上について取り上げました。店舗の利益率を考える場合、まずなぜ利益率が低いのかをしっかり洗い出すことが大切です。原価率の問題なのか、廃棄が多すぎるのか、それとも人件費が高いのか……など、原因を明らかにすることで取るべき対策もおのずとはっきりしてきます。併せて、利益率をアップさせる工夫にも積極的に取り組みましょう。中でも原価率の低い料理を積極的に売り込むことは短い期間でも効果の出やすい方法です。接客スタッフと上手に連携し、従業員一丸となって利益率アップを目指しましょう。

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