飲食店における衛生管理の5つのポイントとは?衛生管理の目的ややっておくべき点を紹介します!

飲食店を経営していく中で最も重要としているのは、「料理の味」ではないでしょうか。
もちろん料理の味はとても大切です。しかし、これはお店があくまで安全な食べ物、安全な環境といった安全面が提供できている状態であることが必須です。
普段お店の衛生状態はどのように管理していますか?
しっかりできているかどうかを確認していますか?
もともと日本の衛生環境は良く、どのお店もある程度はキレイにしています。しかし、コロナを機に敏感になってきているので、これまで以上の衛生管理が必要になっているところもあります。
本記事では飲食店の衛生管理で守るべき点、やっておくべき点などについて紹介しています。
ちゃんとできていると思っている方も衛生管理について今一度見直していきましょう。
飲食店における衛生管理の目的とは?

衛生管理をしっかりしなければいけないというのは、なんとなく分かっていると思います。しかし、目的まではっきり分かっている人は少ないのではないでしょうか。
衛生管理をしっかり行う理由や目的を把握しておくことで、自分だけでなく、スタッフも一層気を配れるようになれます。
衛生管理の目的は主に3つです。
お客様の健康を守るため
1つ目はお客様の健康を守るためです。「衛生管理を行う=食中毒を防ぐ」ということはおそらく全員の共通認識だと思います。
しかし、食中毒を出さない目的はお店に被害を出さないため、マイナスなイメージを与えないためということになってしまっており、お客様の健康を害する恐れがあるということを忘れがちです。
食中毒は最悪の場合、死につながる恐れがあります。生死を問わない方が多いですが、健康を害することは間違いありません。
自分が食中毒にかかったらと、相手の立場にたつと、普段の衛生管理の意識が上がるようになるでしょう。
お店の信用を守るため
2つ目はお店の信用を守るためです。
一度食中毒を起こすと、一気にお店の信用が落ちてしまいます。最悪の場合、閉店に追い込まれる可能性だってあります。
信用を失くすのは食中毒だけではありません。異物混入やテーブルの汚れ、トイレの汚れなど、衛生面に問題があると、お客様は一気に離れてしまうでしょう。
飲食店は料理が美味しいだけでなく、清潔を保つことも信用を守るために重要です。
利益の向上につなげるため
3つ目の理由は利益の向上につなげるためです。
特に女性が初めてお店を訪れる際にチェックしているのが衛生面です。口コミで料理は美味しいけれど衛生面が良くないと書かれていた場合、その口コミを見た方はお店に来てくれない可能性があります。
以前とある会社が行ったアンケートで「初めて利用した飲食店をもう一度リピートしない理由は何か?」という問いに対して、「お店の衛生状態が気になる」と答えた人が34%もいました。
お店が清潔かどうかはお客様が重要視していることが分かります。
ここはやっておくべき衛生管理のポイント

上で紹介した衛生管理の目的を守るためには、普段から衛生管理に気を配らないといけません。ただ、忙しい中、あれもこれもやるとなると他のことに手が回らなくなる恐れがあります。
ここでは衛生管理でやっておくべきポイントを5つ紹介します。これだけはしっかり守ってください。
ポイント①手洗いはこまめに行う
手洗いは一番といってもいいほど、衛生管理の中では基本的なことです。手を清潔に保つことはもちろんですが、手洗いをしっかりしないといけないという意識が大切です。
トイレの後や肉・魚を触った後など不衛生な作業をした後は必ず手洗いを行うようにしましょう。
手洗いのやり方については、以下の日本食品衛生協会の手洗いマニュアルを参考にしてください。
ポイント②冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に保つ
菌を増殖させないよう、また、食品の劣化を遅らせるようにするために、冷蔵庫や冷蔵庫の温度は適切に保ちましょう。
菌は、低温菌、中温菌、高温菌の3群に大別されます。
この中で低温菌は最も種類が多く、12~18℃で増殖します。低温菌の中には下痢や嘔吐などの食中毒を引き起こす菌があるので注意しましょう。
また、冷蔵庫内の食品は詰め込み過ぎないようにすることも重要です。冷蔵庫内で冷気が循環しないので、冷気が当たらないところでは温度が上がってしまいます。
食材を入れる目安は約7割です。冷気の吹き出し口にも食材を置かないように注意しましょう。
ポイント③先出しを徹底する
食材を使うときは必ず賞味期限や消費期限の近い方から使うように徹底しましょう。先に使うものを手前に置く、取り出しやすい側にするなど工夫が必要です。
タッパーなどの保存容器に入れている場合は、シールを貼って賞味期限や保存した日を書き込むようにし、誰にでも分かる状態にしておいてください。
ポイント④トイレは常に清潔に
店内の清潔さでお客様が特に気にするポイントとしては、トイレです。いくら店内を清潔にしていてもトイレが汚いと悪い印象になってしまいます。
以前TOTOが行った「飲食店トイレについての意識調査」というアンケートにおいて、トイレがキレイとどのように感じますかという問いに対して、お店のイメージがよくなると答えた人が約8割いました。
出典:飲食店トイレのお客様意識調査トイレはお店の評価にどこまで影響する?
中にはトイレがキレイなのは当たり前という意見もあったほど、トイレに関してはシビアな感覚を持っている人が多いことが伺えます。
トイレは男女別に、そしてにおいがないなどお客様が気にしているところも書かれているので、ぜひ一度内容を確認してください。
ポイント⑤食材の保管は分類して行う
食材を冷蔵庫などに保管する際は肉や魚を分類しておきましょう。
肉や魚には菌が付着しているので、野菜や果物、調理済み食品などの食材とは冷蔵庫を分けて保管するようにしてください。
もし冷蔵庫のスペースがあまりない、冷蔵庫の数が少ないなどの問題がある場合は、保管方法を工夫すれば大丈夫です。
お肉や魚など非加熱でドリップの出る食材は一番下の段に、加熱済みや生のまま提供する食材は一番上の段にするなど、離して保管するようにしましょう。
お客様側になって衛生状態を確認するのも有効

どこからどこまでやればいいのか分からなくなったときは一度お客様の視点になって見てみるといいかもしれません。
例えばまかないをお客様テーブルで食べてみると、さまざまなことに気付きます。
例えばテーブルやイスの汚れ、メニュー表がべとべとしている、調味料の容器が汚れている、テーブルから見えるキッチンがあまりキレイとは言えないなど座ってみないと分からないことがあるでしょう。
また、自分だけでなく、従業員にも同様のことをすると新たな気づきを得られるかもしれません。
衛生管理が大変な時は使い捨て食器に頼ろう
これまで紹介してきたように、衛生管理を徹底するのは労力が必要です。特に飲食店は人手不足で悩んでいる傾向があります。
少しでも労力を楽にしたいのであれば、使い捨て食器を使うことをおすすめします。全ての食器をキレイに洗うところから乾燥まできっちり行うのは大変です。
お箸やスプーン、フォークなどを使い捨てに変更するだけでも少し楽になるでしょう。今や使い捨ての食器もオシャレなものも登場しています。
使い捨てに変更できるものはないか、一度確認してみましょう。
衛生管理にゴールはない!

衛生管理はある意味ゴールがないものかもしれません。絶対に大丈夫ということはないからです。
しかし、絶対に大丈夫と言えるくらいまでの努力は必要です。
お客様に安心安全な料理を食べてもらうため、居心地の良い環境で食事を楽しんでもらうためにも衛生管理はきちんと行いましょう。