生産農家がECサイトで商品を販売するメリットと活用のポイント
「普段は道の駅などで商品を販売しているけれど、思いきってECサイトの利用にもチャレンジしてみたい!」「ECサイトを活用してみたいが、注意すべきポイントなどはあるのだろうか?」など、商品のインターネット販売に関して悩みや疑問を抱えている生産農家の方も多いのではないでしょうか? そこで今回は「生産農家のECサイト利用」について特集。ECサイトの種類から、活用するメリット、無理なく使うためのポイントなどについて解説しますので、ぜひお読みください。
農産物を販売できるECサイトの種類
「ECサイトを利用した農産物の販売」と言うと難しく感じられますが、簡単に表現すると「インターネットで農産物を売ること」になります。インターネットで農産物を売る場合、企業に対して販売するケースと個人に対して販売するケースが考えられますが、今回は「インターネットで個人に対して農産物を売る」ケースに焦点を当てることにします。個人に対して農産物を販売できるECサイトには大きく分けて次の3つの種類があります。
・自社ECサイト
・ショッピングモール型ECサイト(産地直送型含む)
・仕入れ型ECサイト
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
自社ECサイト
売り手が自分で1から構築したショッピング機能を持つサイトのことです。農家の個人サイトなどにショッピング機能がある場合をイメージしていただけると良いでしょう。集客や事務作業をすべて自分たちで行う必要がありますが、その代わり、余計な手数料がかかりません。また、サイトも自由にカスタマイズできます。
ショッピングモール型ECサイト
ショッピングモール型ECサイトは、Amazonや楽天市場をイメージすると良いでしょう。ショッピングモールのような巨大なサイトの中に自分のお店を出店する形式です。農産物の場合、ショッピングモール型サイトの派生として、「店舗は構えず、売りたい農産物だけ出品できる」産地直送型サイトも存在します。
ショッピングモール型サイトの最大のメリットは集客を自分で行う必要がないことです。出店したり、農産物を出品しておくだけで、Webサイト内の検索機能を通じて購入者が商品を見てくれます。逆にデメリットは手数料がかかることと、自社ECサイトのようにフレキシブルなカスタマイズが難しいことです。
仕入れ型ECサイト
仕入れ型ECサイトは、サイト運営者が生産者から農産物を納品してもらい、それを消費者に販売する形式です。生産者が消費者と直接やり取りをするわけではないので事務手続きなどの手間がありません。しかし、何をいくつ売るかなどを、生産者が自由に決められないデメリットもあります。
生産農家がECサイトで商品を販売するメリット
では、生産農家がECサイトで商品を販売すると、どんなメリットがあるのでしょうか?考えられるメリットは次の4つです。
規格外の農作物を販売できる
1つ目のメリットは、市場では決まりから外れてしまって売れない「規格外」の農作物や、市場に卸せない余った農作物を無駄なく販売できることです。普通の販売方法では利益にならない農作物も、ECサイトを通して消費者に直接販売すれば、収益化が可能です。
全国に販売できる
2つ目のメリットは全国の消費者に向けて販売できることです。道の駅や農産物の直売所で農作物を販売する場合、購入者は地元の方か、もしくは旅行などでその土地を訪れた方に限定されます。しかし、ECサイトを使えば、全国どこに住んでいる方とでも簡単に繋がることが可能です。人の行き来が少ない地域などで農作物を作っている生産農家の方にとって、これは大きなチャンスとなります。
24時間いつでも販売できる
3つ目のメリットは24時間いつでも農作物の販売が可能なことです。店舗などで販売する場合、どうしても店舗の営業時間にしばられます。しかし、ECサイトは24時間営業。夜間であっても、自動で商品を販売してくれる優れたツールなのです。
商品に関する生の声を受け取りやすい
4つ目のメリットは、消費者から商品に関する生の声を受け取りやすいことです。自社ECサイトやショッピングモール型ECサイトでは、流通市場に商品を卸すより購入者との距離が近いため、口コミの書き込みなどを通じて味や品質に関する感想をダイレクトにもらいやすいのです。消費者の生の声は、次の商品を販売する際、大きなヒントになると言えるでしょう。
生産農家がECサイトで商品を販売するデメリット
もちろん、生産農家がECサイトで商品を販売することには、メリットばかりではなく問題点もあります。
最も大きなデメリットは普段の農作業以外の仕事が増えることです。受注した商品の梱包や発送から始まり、Webサイトの更新や集客、購入したお客様からのクレーム対応まで、やらなくてはならないことは山積みです。ECサイトでの販売を行うために新しい従業員を雇ったら、逆に売上がマイナスになってしまった……というケースもあります。
ECサイトを活用する上でなるべくデメリットを回避するためには、次項で紹介するポイントに気をつける必要があります。
生産農家がECサイトで商品を販売する上で気をつけるべきこと
起こる可能性のあるデメリットをなるべく回避し、ECサイトを有効に活用するためには次の2つのポイントに気をつけましょう。
スモールスタートを心がける
1つ目のポイントはスモールスタートを心がけることです。はじめから大きな規模でECサイトでの販売を手掛けてしまうと、事務作業などの要領が掴めず苦労します。また、自社ECサイトを専門の業者に作ってもらうためには多額の費用がかかりますし、ショッピングモール型のECサイトを活用する場合は手数料も考えなければいけません。
1、2品から始められる産地直送型のサイトや簡単なフリーマーケット用のアプリを使ってお試し販売をはじめ、徐々に規模を拡大していくようにしましょう。はじめのうちは試行錯誤することも多いはずですが、扱う商品数が少なければ改善も容易です。短期間では利益が出にくいかもしれませんが、長い目で見ればしっかり利益を出すための土台作りになります。収益化を焦り過ぎないようにしましょう。
集客を意識する
ショッピングモール型のECサイトでははじめからある程度の集客が見込めますが、もちろん自分たちでも積極的に宣伝していく必要があります。現在はSNS社会ですので、TwitterやInstagram、TikTokなど、SNSをどんどん活用しましょう。フォロワー数が増えるにはある程度の時間がかかります。諦めず、継続的にPR活動を行いましょう。
SNSは消費者とダイレクトにやり取りできる点も魅力です。ファンになってくれる消費者が増えれば、口コミで商品の情報が拡散されます。また、商品の魅力や改善点を聞くこともできます。
ポイントを押さえてECサイトの積極的活用を
今回は「生産農家のECサイト活用」について取り上げました。規格外の農作物が収益化できたり、全国の消費者と簡単に繋がれたり、生産農家がECサイトを活用することには大きなメリットがあります。事務作業や顧客対応が増えるなどの問題点もありますが、スモールスタートを心がけることで改善点も見つけやすくなりますので、ぜひ積極的に活用し、売上アップを目指しましょう。