国や企業も後押し!地域の食材を使ったメニュー開発に挑戦する方法
地元ならではの食材を使ったメニューには「その土地でしか味わえない」魅力がたっぷり詰まっているため、お店のオリジナリティを出すには最適です。観光として訪れたお客様の注目が集まるメニューを開発できれば、集客効果も抜群ですね。そこで今回は「地元の食材を使ったメニュー開発」について特集。メニュー開発の手順や全国の成功事例、国や企業の取り組みなどを紹介します!
メニュー開発で大切なポイント
まず、メニュー開発のポイントについて確認しましょう。メニュー開発において大切なのは、必ず下記の流れで考えを深めていくことです。
①コンセプトを固める
↓
②メニュー案を出す
↓
③具体的なレシピを作る
②のメニュー案作成からスタートしてしまう方が多く見られますが、最も重要なのは①のコンセプト固め。はじめにコンセプトをしっかり決めておくことで、最後までブレずにメニュー作りが行えます。それぞれの段階について、1つずつ見ていきましょう。
コンセプトを固める
メニューのコンセプト固めは、その後の方向性を決める上で欠かせないことです。コンセプトが明確に定まっていないと、その後、具体的なメニューを決める際、考えが迷走してしまいます。コンセプト固めを行う際は、以下の3点を大切にしましょう。
・ターゲットは誰か
・どんなシーンでの利用を目的としているか
・どんな体験を提供したいか
まず、そのメニューのターゲットは誰かを決めましょう。「地域の食材を使ったおいしい料理を開発したのだから、みんなに食べてもらいたい!」という気持ちになるのはわかりますが、ご年配の男性と若い女性では食の好みが異なります。自分の店の客層を鑑みて、ターゲットの性別や大まかな年齢を決めましょう。
次に、ターゲットとなるお客様にどんなシーンでそのメニューを食べてほしいかを考えます。テイクアウトで気軽に食べ歩きしてもらうメニューにするのか、地酒と一緒に提供することを前提としているのかなど、利用するシチュエーションについて深掘りしてください。この場合に大切なのは、周囲の飲食店や観光名所についてリサーチを重ねることです。「せっかく地元の素晴らしい食材を使っているのだから、ディナータイムに大切な恋人と味わってもらうメニューにしたい!」と考えても、周囲の観光名所の多くが夕方で閉まってしまう場合、この案は成り立たない……などのケースが考えられるからです。
ターゲットとシチュエーションを決めたら、最後に「どんな体験を提供したいか」も決めましょう。海辺の喫茶店だったら「地元の〇〇を使ったデザートをコーヒーと一緒に味わいながら潮騒の音をゆっくり聞いてもらいたい」のような例はいかがでしょうか?提供したい体験について具体的に考えることで、お客様の気持ちに寄り添ったメニューやキャッチコピーを開発できますよ。
メニュー案を出す
コンセプトを固めたら、メニュー案を出しましょう。この際、それぞれのメニューについて「食材の仕入先」「食材の原価」「作りやすさ(提供までにかかる目安時間)」などを具体的に書き出しながら考えることが大切です。
どんなにおいしくても、仕入れが1年のうちごく短期間しかできなかったり、鮮度が急速に落ちてしまったり、価格の変動が激しすぎたりする食材を活用してメニューを考えることはリスクが高すぎます。また、提供までに手間のかかりすぎるメニューも現実的ではありません。地元食材のなかから「仕入れが容易」で、かつ「原価が比較的安い」ものを選び、調理に時間のかかりすぎないメニューを考えましょう。
具体的なレシピを作る
最後に、具体的なレシピを作成します。レシピを作る際は、調理スタッフが誰でも同じように作れるよう、分量や作業工程を明確化することです。また、味の良さはもちろんですが、見た目にもこだわるようにしましょう。現代はSNS社会です。写真映えするよう工夫を凝らすことで、SNSに写真をアップしてくれるお客様が増え、宣伝効果が上がります。
ご当地メニューにふさわしい地元の食材の選び方とは?
では、ご当地メニューにふさわしい「地元の食材」とはどのようなものなのでしょうか?北海道での成功事例をもとに、2つのポイントについて考えてみましょう。
近隣地域に共通の食材を使ったメニューが少ない
1つ目は近隣地域に共通の食材を使ったメニューが少ないことです。
北海道の比較的新しいご当地メニューに「美瑛カレーうどん」があります。2005年から提供されている北海道美瑛町の人気グルメで、カレーうどんとしては珍しいつけ麺・焼き麺タイプがあるところも評判です。
北海道は「ジンギスカン」、「カニ」など、もともと食の宝庫として知られた土地です。しかし、「北海道全体」ではなく「美瑛」ならではの食材にフォーカスしたメニューを作りたいというところから、「美瑛カレーうどん」は生まれました。
「美瑛カレーうどん」は、美瑛産小麦を100%使っている点がポイント。開発当時、北海道にはうどんを食べる文化があまり根づいていなかったため、その点も差別化につながったと考えられています。
美瑛カレーうどんについてもっと知りたい方はこちら!→http://www.bieicurry.com/abouts/
ブランド化できる要素がある
2つ目はその食材にブランド化できる要素があることです。
宮崎県都城市に「都城焼き肉三昧舟盛り御膳」というご当地メニューがあります。牛肉、豚肉、鶏肉の3種類のお肉が華やかな舟盛りで提供されるもので、価格も1000円台とリーズナブル。多くの観光客に愛されているメニューです。
このメニューが開発される際、注目されたのは「牛肉、豚肉、鶏肉すべての産出額が日本一」という都城市の隠れた実績。他のブランド肉などに押され、あまり目立っていなかったこの数字に注目し、見事ブランド化に成功しました。
「ブランド化される要素があるのに、まだ注目されていない」食材に狙いを定めることも、メニュー開発にとっては大切なポイントです。
都城焼き肉三昧舟盛り御膳についてもっと知りたい方はこちら!→https://miyakonojo-3mai.com/
国や企業のプロジェクトに参加し、プロの助言を仰ぐ方法も!
ここまで、メニューの開発手順や成功事例を紹介してきました。しかし、「そうは言ってもなかなか良い案が思いつかない」「専門家の意見を聞きたい」という方も多いのではないでしょうか? そんな場合におすすめなのが、「国や企業のプロジェクトに参加する」ことです。
例えば、観光庁は2023年度、約5700万円の予算を計上し、「地域の食材を使ったメニュー開発」を支援する方針を掲げています。食事を目玉にしたい宿泊施設に対し、プロの料理人がアドバイスを行うもので、募集は公募の形式で行われるとのことです。
観光庁のものは現在のところ「宿泊施設のレストラン」が対象ですが、料理研究家とコラボレーションし、そのお店に最適な地域食材メニューの開発を行っている企業もあります。食材の仕入れや商品プロモーションも手助けしてくれるため、力強い助っ人になるのではないでしょうか?
→https://sb-ja.jp/case/ryouri_menu
メニュー開発は1つひとつできることから!
今回は地域食材を使ったメニュー開発に挑戦する方法を紹介しました。すべて1から開発するのではなく、「予想外に売上の良いメニューがあるから、ここからできることを考えてみよう!」など、日々の気づきに即したスモールスタートももちろん大切です。成功事例などを参考に、毎日の業務の負担になりすぎないところから、新しいメニュー開発をはじめてみてはいかがでしょうか?