キッチンカーの市場とコロナ前後の変化とは
街中やイベント会場などで見かけることの多いキッチンカー。
気軽に始めやすいこともあり、新規参入したり、固定店舗から新たに展開したりと年々増加の傾向にあります。
近年ではコロナの影響もあり、注目を浴びるようになりました。
飲食業界が深刻なダメージを受ける中、着々と増え続けるキッチンカーもコロナ禍で変化を見せ始めました。
本記事では現在のキッチンカーの市場や増加した理由、コロナ前後の変化、開業する前にやっておくべきことなどについて詳しく解説しています。
キッチンカーを運営しようと考えている方はぜひ参考にしてください
現在のキッチンカーの市場について
キッチンカーは2011年の東日本大震災をきっかけに復興に向けての支援や2020年のコロナ禍のテイクアウトや公園などの外で食事をする人が増えてきたことで需要が高まっています。
過去5年間東京都福祉保険局で飲食店営業許可を受けたキッチンカーは以下の通りです。
※2021年は速報値
年度 | 許可台数 |
2017年 | 2772台 |
2018年 | 3002台 |
2019年 | 3381台 |
2020年 | 3794台 |
2021年 | 3676台 |
2021年は速報値であるため正確ではありませんが、キッチンカーの営業台数は増え続けています。
表には記載していませんが、10年前の2011年度では1741台であったことを考えると、この10年で2倍以上増えています。
キッチンカーが増加した理由
コロナ禍によって新生活様式にマッチするものとして、キッチンカーが注目されるようになり、一気に需要が高まりました。
しかし、キッチンカーは上述したようにコロナ前から増加しています。なぜキッチンカーが増えているのか、その理由は主に下記の2つです。
- 環境に対応しやすい
- 開業のハードルが低い
それぞれ詳しく解説していきましょう。
営業場所を自由に変えられる
キッチンカーの強みの1つに移動できるというところがあります。平日はオフィス街、休日はイベント出店と売上を上げやすい場所に移動して営業できるのがキッチンカーの最大の魅力です。
飲食店は営業場所が重要です。もし集客がイマイチだな、売上が上がらないなと感じた場合、すぐに場所を移動できるという点で失敗がしにくいです。
開業のハードルが低い
キッチンカーが増えた理由に固定店舗と比べると初期投資を抑えるという点が挙げられます。店舗にもよりますが、固定店舗の場合、1,000万円程度の資金が必要ですが、キッチンカーなら300万円程度で開業することができます。
また、家賃が発生しないため、固定費を抑えることもできます。
初期投資やランニングコストを抑えられるということはリスクが低いということになり、仮に失敗して廃業してもキッチンカーを売却することで借金を最小にすることも可能です。
コロナ禍でのキッチンカーの変化
2020年の新型コロナウイルスの流行で外食産業は大きな変化を求められました。外で食べるのではなく、家で食事をする「家食」が増加したことで宅配サービスのUberやDiDiの需要が伸びました。
キッチンカーも同じく変化が求められました。キッチンカーが変化したものは主に販売場所とメニューです。
販売場所の変化について
コロナ前では、キッチンカーはビジネス街や公園など人が集まりやすいところや、イベント会場などで出店していました。
しかし、テレワークが推奨されたことでビジネス街には人がいなくなり、イベントも開催されない、もしくは参加人数の削減が求められ、キッチンカーの需要が大きく減りました。
在宅ワークが増えたことでキッチンカーはビジネス街から住宅街、または団地へと販売する場所に変化が生まれました。
タワーマンション付近で販売するキッチンカーがメディアで取り上げられるなど話題になりました。
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メニューの変化
キッチンカーは販売場所だけでなく、メニューにも変化が生まれています。
コロナ前はビジネスマンやイベントに来るお客様がターゲットでした。そのため、素早く提供できるものやインスタ映えのする料理が中心でした。
しかし、コロナ禍において住宅街やマンションに移動したキッチンカーでは、夜ごはんのおかずの1品となるメニューや子どもが好きなおかずが販売されるようになりました。
このほか、巣ごもりが加速したことで、家でちょっとした贅沢な食事をしたいという方も増えてきたため、都内のレストランで提供されるような料理を販売するキッチンカーも人気を集めています。
キッチンカーを開業する際にやっておきたい3つのこと
もしキッチンカーを開業するのであれば、以下の3つのことをやっておきましょう。
・セミナーを受講する
・補助金を活用する
・車両購入は専門の業者から仕入れる
セミナーを受講する
キッチンカーだけでなく、何事も始める前は情報収集が大事です。キッチンカーの開業に当たってはセミナーを受講することをおすすめします。
セミナーによって内容は異なりますが、基本的には下記のことを教えてくれます。
・現在のキッチンカー市場
・開業に必要なもの
・出店場所の探し方
・営業許可の取り方
・キッチンカーの種類や特徴
・キッチンカーで成功するためのポイント
最近ではオンライン配信にも対応しているため、自宅で受講することも可能です。
現地で受講する場合は、実際に使われているキッチンカーを見学することができます。厨房機器や電気設備、動線などを確認できるので、購入前に見ておくと失敗する確率がグンと減ります。
また、セミナーの受講後にコンサルティング対応している企業もあります。開業前につまずいたときや、開業した後に上手くいかないときなど相談できるので、不安な方は申し込んでおきましょう。
セミナーはさまざまな企業が開催していますが、その多くは無料で行っているので、気軽に参加してみてください。
補助金を活用する
キッチンカーを開業する際、開業資金の一部について補助金または助成金を交付している自治体があります。
例えば東京都で開業する場合、東京都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業主含む)を対象に、公益財団法人東京都中小企業振興公社が助成金を出しています。
助成の対象となるのは、車両費や販売促進費、器具備品費など、経費の4/5以内(最大100万円)まで。
開業する際には初期投資を抑えることが重要です。最初からお客さんを捕まえることは難しいので、最初は赤字になる可能性が高いでしょう。そのため、補助金や助成金を活用して自己投資を少なくすることが重要です。
コロナ禍ということでキッチンカーのサポートをしている自治体は多くあります。自分の営業したい地域で使える補助金はないか、一度探してみましょう。
車両購入は専門の業者から仕入れる
キッチンカーで一番重要となるのは車両です。車両はコストが一番かかるため、できるだけ費用を抑えたいと思う人は少なくないでしょう。
キッチンカーを調達する方法は、「新車を購入する」「中古車を購入する」「所有する車を改造する」「企業からリースで借りる」の主に4つあります。
この中で所有する車を改造する人は注意が必要です。
キッチンカーを始める前にしてしまう失敗の1つに保健所の許可が通らない仕様に改造してしまったということがあります。これはキッチンカーを製作したことのない会社や板金工場に依頼することで起きています。
もし保健所の許可が下りない場合、新たに改造しないといけないため、費用がかさんでしまいます。失敗しないためには知識をしっかり入れておく、またはキッチンカーの製作を専門としている会社に依頼するようにしましょう。
キッチンカーの将来性はあるのか?
現在キッチンカーは毎年続々と出店者が増えています。しかし、同時に廃業者もたくさん出ています。新規参入してから3年後に生き残っているのは30%ほどと言われています。
飲食店の生存率は1年後で70%、3年後で30%と言われており、ほとんど同じです。キッチンカーは飲食店と比べると開業資金が低く、営業許可も取りやすいので気軽に始める方が多いことがライバル店舗を増やす大きな要因でしょう。
キッチンカーを永続的に営業していくには他店舗との差別化を図り、独自性のあるメニューや広告の出し方など工夫が必要です。
情報をこまめに仕入れ、しっかりと経営戦略を練らないと生き残っていくことが重要となります。
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