July 25, 2023

鳥インフルエンザによる卵不足と価格の高騰!回復の見込みは?ヴィーガンエッグは救世主となるか?

昨年(2022年)秋頃から今年の春先にかけて鳥インフルエンザが大流行し、多くの鶏が殺処分されたことは記憶に新しいのではないでしょうか?その影響で、現在、まだ卵不足と卵の価格高騰が続いています。「この卵不足はいつ終わるのだろう?」と不安に思っている飲食店オーナーの方も多いことでしょう。


そこで今回は「鳥インフルエンザによる卵不足とヴィーガンエッグ」について特集。なぜ卵不足や卵の価格高騰が長引いているのか、これはいつ頃終わるのか、また、最近話題の「ヴィーガンエッグ」は卵の代わりとして活用できるのかなどについて解説します。


鳥インフルエンザと卵の価格高騰の関係


他の食品が次々値上げされる中、卵は数十年単位で大きな価格変動がなかったことから「物価の優等生」とも呼ばれていました。しかし、昨年後半に大流行した鳥インフルエンザの影響で、ここ半年ほど、卵の価格は今までに類を見ないほど高騰しています。


今までにも鳥インフルエンザが流行したことはありましたが、なぜ今回はここまで卵が値上がりしてしまったのでしょうか?また、卵の価格はいつ頃落ち着くのでしょうか?理由や卵の価格に関する今後の見通しについて説明します。


鳥インフルエンザの影響で卵の価格が高騰する理由


鳥インフルエンザの感染が拡大すると、感染を防ぐために農場の鳥が全て殺処分されるという対応が取られます。このため、感染が広がると大量の鶏が処分され、結果的に卵の生産量も大きく減少します。


昨年(2022年)秋から今年の春先にかけ、日本では鳥インフルエンザが大流行しました。流行の始まった時期が例年より格段に速く、また今までで最悪とも言われる感染規模でした。また、今回の鳥インフルエンザは日本のみならず海外でも猛威を奮っており、国内・国外を問わず卵不足の状況が続いています。


これに加え、鳥のエサとなるトウモロコシなどの飼料価格が高騰していることも卵の値上がりに拍車をかけました。飼料価格の高騰にはロシアのウクライナ侵攻も関係しています。


卵の価格高騰が落ち着く時期


鳥インフルエンザの感染が一段落し新たに鶏が飼育されて生産量が回復すれば、卵の価格もまた落ち着く傾向にあります。現在、鳥インフルエンザの流行は収束しつつありますが、殺処分となった鳥たちの影響が完全に元に戻るのには1年程度かかるだろうと予測されています。


卵の価格は、海外での鳥インフルエンザ流行状況や、ロシアのウクライナ侵攻により高騰した飼料価格の安定状況も関係するため、「〇月頃には確実に値上がりが落ち着く」と予測するのは難しいと言えます。今後の動向について、専門機関の発表や報道から目が離せません。


ヴィーガンエッグ(代用卵)は卵不足の救世主となるか?


卵不足や卵の価格高騰が長引くにつれ注目を集めているのが「ヴィーガンエッグ」をはじめとする代用卵です。ヴィーガンエッグは、ヴィーガン(生活をする上で、できる限り動物を搾取しない選択をする方)や卵アレルギーの方が卵の代替品として活用できるよう開発されました。原材料や味、価格などについて見ていきましょう。


ヴィーガンエッグの原材料は?


ヴィーガンエッグとは、海藻や豆乳など、植物由来の成分で作られた卵の代替品です。ニュートリショナルイーストや塩分などで色や味を卵に似せてあることが特徴。動物由来の成分や原材料を避けることで、卵アレルギーの方だけでなく、ヴィーガンでも卵の風味を手軽に楽しめるようになりました。


ヴィーガンエッグの栄養素は本物の卵と異なる?


ヴィーガンエッグと本物の卵とでは、当然ながら栄養素に差があります。卵はタンパク質やビタミンB群などを豊富に含む一方で、ヴィーガンエッグは具体的な栄養素がどの程度含まれているかは、その原材料に依存します。


基本的にはヴィーガンエッグは植物由来の成分で作られているため卵に比べて消化しやすいと考えられています。また食物繊維が豊富な傾向にあるため、お腹の調子を整えるのにも適しています。


ヴィーガンエッグの形状と味は?


ヴィーガンエッグは粉末状のものが多数を占めており、使用する前に水で溶くことで、オムレツやスクランブルエッグなどの料理に使用できます。味に関しては商品により異なりますが、しっかり味つけして火を通すなどすれば、本物の卵と見分けがつかないクオリティです。


ヴィーガンエッグの価格


ヴィーガンエッグはこれまで、ヴィーガンや卵アレルギーの方のために販売されてきました。そのため流通量が多くなく、価格はまだ一般的に通常の卵よりも高い傾向にあります。しかし、今後ヴィーガンエッグの存在が広まり、市場に流通する量が増えれば価格も今よりずっと安価になるかもしれません。


時代の鍵を握る「エシカル消費」


ヴィーガンエッグはまだまだ価格が高く、「不足・価格の高騰化した卵の代わり」として活用するのは難しそうです。しかし、別の観点から考えると、飲食店にとってヴィーガンエッグは重要な食材です。これからの時代に重要となるキーワード、「エシカル消費」について見ていきましょう。


エシカル消費とは?


エシカル消費とは、「エシカル」つまり「倫理的・道徳的」な視点から消費行動を行うことです。SDGs(続可能な開発目標)に関連する取り組みとして、2015年以降大きな注目を集めています。


地域の活性化や雇用、人権、環境などを考慮し、それぞれの商品やサービスがどのように生産・提供されているのか、その生産過程を理解した上で消費行動を行うことを目標としている点が特徴。また、自分が消費することで直接的・間接的に影響を与える社会全体の課題解決に貢献することを目指しています。


消費者のエシカル消費に関する意識が高まっている理由


近年、環境破壊をはじめとする地球規模の問題が深刻化しているのは周知の事実です。その反省を踏まえ、「自分だけが良ければ何でもいい、はやめよう」「自分だけでなく社会や環境がよりよくなるように考えて行動しよう」という意識が全世界的に高まっています。それが、エシカル消費に関する意識の高さへとそのまま繋がったと考えて良いでしょう。


1人ひとりが日々の消費行動を通じて社会的な課題に取り組むことで、社会問題解決の一翼を担うことができます。「自分の小さな行動が大きな社会に繋がっている」という意識で行動する若い消費者が増えています。


飲食店がエシカル消費を意識するメリット


飲食店がエシカル消費を意識することで、社会貢献だけでなく、店のブランドイメージの向上を期待できます。ブランドイメージが上がれば、話題性にも繋がりますし、顧客の信頼と満足度も獲得できます。


消費者の意識が変わりつつある現在、エシカル消費を意識したメニューやサービスを提供することで、その流れを先取りし、「社会全体と共に成長していく店」をアピールすることが可能となります。


エシカル消費とヴィーガンエッグ


ヴィーガンエッグは、動物を使わずに製造された卵の代替品であり、「動物の福祉や環境保全に配慮した商品」としてエシカル消費の観点からも評価されています。ヴィーガンエッグを使ったメニューを提供することで、そういった意識の高い顧客の支持を得ることができるのです。


ヴィーガンエッグの可能性を試すチャンス


今回は「鳥インフルエンザの流行による卵不足とヴィーガンエッグ」について取り上げました。卵の価格高騰は一般消費者だけでなく、飲食店にとっても死活問題です。ヴィーガンエッグをはじめとする代用卵は、その値段の高さから「どんどん使える卵の代わり」として活用するのはまだ難しそうです。しかし、ヴィーガンエッグは「エシカル消費」という最先端の価値観を体現する食材でもあります。ぜひこの機会にヴィーガンエッグの可能性を試してみるのはいかがでしょうか?

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