
クリスマスにお正月、忘年会や新年会……秋の終わりから冬にかけては飲食店の繁忙期。お客様の増えるお店も多いのではないでしょうか?
季節の移り変わりに合わせた新商品の準備ももちろん大切ですが、混雑が予想される場合、お客様1人ひとりが気持ちよく過ごせるサービスの提供も欠かせません。
そこで、今回は「お客様の喜ぶ嬉しいサービス」をテーマとして取り上げることにしました。基本的なサービスや、プラスアルファの取り組み、そして実はお客様に不人気なサービスについても、細かくご紹介します!
まずは基本!人気店が必ず行っている接客サービス
はじめに、人気飲食店が必ずと言っていいほど行っている接客サービスからご紹介。人気飲食店では、基本的に以下の3点に力を入れていると言われています。
・スムーズなオペレーションの徹底
・お客様の気になるポイントを先回り
・会員カードでリピート来店へのモチベーションアップ
それぞれについて考えていきましょう。
スムーズなオペレーションの徹底
1つ目は「スムーズなオペレーションの徹底」についてです。
お客様からのご意見で最も多いもの。それは実のところ、「入店したのになかなか気づいてもらえない」、「席に着いてから注文を取りに来るまでに時間がかかりすぎる」、「注文したものと違う料理が提供された」など、オペレーションに関するものなのです。
「そんな基本的なことが気になるの? 料理の味ではなく?」と思われるかもしれませんが、基本的な部分だからこそ、店舗ごとの差がはっきり出てしまうと言えるでしょう。どんなにおいしい食事を提供しても、食事する前にお客様が不快感を持ってしまったら意味がありません。何を食べても気持ちにケチがつき、「おいしくないな」と感じてしまいます。
そのため、混雑する人気店は皆、このオペレーション部分に力を入れています。
例えば、人の出入りに音で気づけるよう、入口部分にベルや入店アラームを設置する仕組みは多くの店舗で利用されています。また、注文時に店員を呼びやすいよう、ブザーやベルをテーブルに置いているところも少なくありません。注文の間違いを防ぐため、小規模店でもタブレットタイプのメニューを導入しているお店も増えてきました。
もちろん、デジタル化を進めなくても、入店から注文までのオペレーションを再度見直すことでスムーズな対応は可能です。「お客様がメニューから顔を上げていないか確認する」など、具体的なチェック項目を作り、お客様が手を上げてスタッフを呼ばなくても済む工夫をしましょう。
お客様の気になるポイントを先回り
2つ目は「お客様の気になるポイントを先回り」についてです。
お店独自の創作メニューなど、日常生活で見慣れない料理の場合、「どんな食材が使われているのだろう?」、「辛いのかな?」、「ボリュームはどうだろう?」などお客様はさまざまなことが気になります。このような、「お客様の気になりそうなポイント」に先回りして対策をとる工夫も人気店ではよく行われています。
例えば、「メニューのすべてに写真を載せる」、「料理の説明と一緒に食材やアレルギーに関する情報を添える」などは非常に喜ばれるサービスです。日替わりメニューなどの場合は、お客様をお席にご案内した際に口頭で説明するのも良いですね。
口頭での説明は、お客様とのコミュニケーションにもなります。「このメニュー、お気に入りなんです」、「このお料理は人気で、いつもすぐに売り切れてしまうんですよ」など、スタッフの感想や他のお客様からの評価が入っているとさらに親しみやすくなります。
会員カードでリピート来店へのモチベーションアップ
3つ目は「会員カードでリピート来店へのモチベーションアップ」についてです。
1度の来店で終わらせず、お客様に何度もリピート来店してもらうためには、「顧客のファン化」が重要です。お店の名前や場所を覚えてもらえるよう、会員カードがあると便利ですね。
最近はLINEなど普段から多くの方が利用しているツールでも会員カードが作れますから、登録してもらうことでお客様と繋がり、「季節の情報」や「お得なサービス」を定期的にお知らせすることも簡単です。
かゆいところに手が届く!売上が伸びている飲食店が行っているプラスアルファのサービス
次に、プラスアルファのサービスについて考えていきます。お客様が「こんなことをしてくれると便利なんだけどな」、「こんなことがあったら嬉しいのにな」と思っているのは、どのようなサービスなのでしょうか? そんな、「かゆいところに手が届く」サービスとしては、以下のようなものが人気です。
・余った料理が持ち帰れる工夫
・アレルギー対応メニューの開発
・常連のお客様の顧客情報共有
・SNSの活用
それぞれについて見ていきましょう。
「残しちゃった……」の罪悪感軽減!余った料理を持ち帰れる一工夫
1つ目は、「余った料理が持ち帰れる工夫」についてです。
SDGsなどへの関心が高まる中、「食事を残す」ことに罪悪感を感じるお客様も少なくありません。小食なお客様や、「おいしいけれど、どうしても今お腹に入らない」というお客様に向け、余った料理を持ち帰れる工夫があると喜ばれます。
アメリカなどでは昔から「ドギーバッグ」という持ち帰り用の容器が活用されています。もちろん食中毒など気をつけなければいけないポイントは多々ありますが、無理のない範囲で導入していけると、お店のサービスポイントとしてアピールできますね。
アレルギー対応メニューの開発
2つ目は「アレルギー対応メニューの開発」についてです。
「外食時にアレルギー対応メニューがあると嬉しい」という意見も、お客様から多く見られます。特に小さなお子様のいるご家庭から多い要望で、「アレルギーがある子がきょうだいにいると、外食の経験がさせてあげられない」などの声も上がっています。
既にファミリー・レストランなどでは始まっている試みですが、ご家族で楽しんでもらうことを目的としている店舗では、アレルギー食材を使わないメニューがいくつかあると良いですね。「アレルギーがあっても行ける飲食店」として他店との大きな差別化になります。
常連のお客様情報は徹底共有!記念日にはサプライズも
3つ目は「常連のお客様の顧客情報共有」についてです。
何度もご来店くださる常連のお客様には「いつも注文するメニュー」や、「好きなメニュー」、「好きな席」があるものです。「苦手な食材」がある方もいらっしゃるでしょう。そのような情報は、なるべくスタッフ間で共有し、いつも気持ちよく過ごしていただけるようにしたいものです。
「このお店のスタッフは自分の好みを理解してくれている」と感じることで、お客様は我が家のようにくつろいで過ごせますし、何度もリピートしてくれるようになるでしょう。知り合いの方を連れてきてくれる可能性も増えます。
会員カードなどでバースデーを把握できたら、お祝いをするのも素晴らしいサービスです。見ている他のお客様にも、「自分もこのお店の常連になりたい!」と感じてもらえるような工夫を心がけましょう。
SNSを活用!お客様に直接お礼を言うチャンス!
4つ目は「SNSの活用」についてです。
現代は多くのお店がtwitterやInstagramなどのSNSを活用しています。情報を発信するだけでなく、可能であればお客様とのコミュニケーションツールとしてもSNSを使ってみましょう。
例えば、「お料理の写真と店名を載せてくれたら割引」、「店舗のSNSに載せている合言葉を言ってくれれば1品サービス」などの取り組みはお客様にも人気です。お店の感想を載せているお客様に、SNSを通じてお礼を言うのも喜ばれます。
お店の印象が強く残ることで、お客様に「もう1回行きたい」と感じてもらえるチャンスも増えます。
実は不人気!お客様に喜ばれないサービスとは?
最後に、「実施している店舗は多いけれど、実は不人気なサービス」についても触れておきたいと思います。メディアが行った外食産業についてのアンケートで、「お客様があまり喜んでいない」とわかったサービスとは一体どのようなものなのでしょうか?
過剰サービスにはうんざりしてしまうお客様多数
1つ目は「過剰サービス」です。
メニューやおしぼりの受け渡し時にスタッフが跪くサービスや、店外へのお見送りなどは「やりすぎ」、「居心地が悪い」と不評です。もちろん接待や記念日に利用する高価格帯のお店ではその限りではありません。
しかし、「家族や友人とふらっと入れるお店」の場合、その気軽さに心地よさを感じているお客様も多いようです。お店の雰囲気にあったサービスを提供できるといいですね。
従業員総出の挨拶は店舗の雰囲気とお客様の性格により吉にも凶にも
2つ目は「従業員総出の挨拶」です。
これは一概に不人気というわけではなく、「すごく嬉しい! また来たい!」と感じるお客様と、「恥ずかしくてもう来たくない!」感じるお客様で意見が真っ二つに割れてしまったサービスです。
1つ目の「過剰サービス」と同じように、お店の雰囲気や、そのお客様の様子を見て行うか行わないかを決めた方が良さそうです。
〇〇無料!や〇〇割引!は長期的に見ると悪影響
3つ目は「過剰な割引」です。
無料化や値引きなど、価格に関するサービスは、行っているお店も多いのではないでしょうか? 一時的に行うことは特別感もありお客様に喜ばれますが、あまり頻繁に行うことはおすすめできません。定価で支払っているお客様が「損をした」という気持ちになってしまいます。
経営も圧迫しますので、記念日など、特別な機会に留めておきましょう。
最適なお客様サービスで顧客のファン化を!

お客様に喜ばれる基本的なサービスと、プラスアルファの取り組み、そして実は不人気なサービスについて取り上げました。
お料理のおいしい飲食店で、多くのお客様をファン化できるサービスを行うことができれば無敵です! 既存のサービスの見直しや新しい取り組みを考える上で、この記事が少しでも皆さんの手助けとなれば幸いです。



